RESTAURANTS AND SHOPS
レストラン&ショップ
神奈川・鎌倉
増田屋豆腐店
4代目 増田京子さん
DATE: 2021/10/03
150年受け継がれてきた
豆腐らしさが詰まった豆腐
大豆をたっぷりと使って昔ながらの豆腐の旨味を引き出す
鎌倉駅西口から線路沿いを徒歩6分、“街の小さなお豆腐屋さん”というたたずまいの増田屋豆腐店。実はこちらは慶応元年(1865年)創業の老舗で、店を切り盛りするのは、4代目の増田京子さん。150年以上前の創業時のレシピをそのまま受け継いで現在に至っている。
3代目が逝去した14年前、会社員だった京子さんが家業を継いだのは、祖父や父の代からずっと培ってきた常連客たちとの絆と「店を続けて欲しい」という声に心を動かされたところが大きかった。また、幼い頃から豆腐づくりを側で見てきて、自分の代で店の歴史を終わらせるのはもったいないという思いもどこかにあったのだと言う。先代は週5日営業していたけれど、自分にできるのは頑張って週2日。そんなに大量には作れないけれど、そのぶん納得のいくクオリティを守りたい。そんな風に実直に豆腐作りに向き合っているうち、あっという間に14年が過ぎた。
「こんなに長くやっていても、豆腐作りはまだまだ難しい」と京子さん。同じようでも水加減、押す時間、豆の鮮度、気候によっても仕上がりが変わるので、経験・感覚に基づいた微調整が常に求められる。原材料の大豆は、国産のミヤギシロメ、アメリカ産大豆(遺伝子組み換えではない)を適宜ブレンド。木綿豆腐は一丁220円、絹ごし豆腐は一丁200円、お客さんの期待に応えるべく“大きなサイズの割に手頃な値段”を維持することも大事に考えているそう。
水曜と土曜の営業日は、いつも早朝3時から作業を開始し、ぶっ続けで4〜5時間、京子さん一人で全ての商品を手作りしている。常連さんは開店直後の6時台から続々と来店。1日の販売数は、木綿豆腐20丁、絹ごし豆腐16丁、厚揚げ20個なので、お昼前後で売り切れてしまうことが多いそう。きっと早起きした甲斐あり、と思えるはずなので、早めの来店をおすすめしたい。「大豆の濃い味を楽しめる」と木綿豆腐が一番人気で完売も早いが、その他、豆腐の副産物である豆乳、おから、豆乳プリンなども根強いファンがいる。豆腐づくりは、まさにゼロ・ウェイスト。豆の茹で汁ですら台所洗剤として有効で、捨てるもの、無駄なものは一切ない。店の外にはベンチもあり、豆乳を飲みながら一休み、という風景もちらほら。特に台湾からの観光客に豆乳は人気のようだ。
店の長い歴史の中で、人種を問わず豆腐づくりを学びたい人が何人も門戸を叩いてきた。京子さんが中学生の頃、2代目の下で修行していたアメリカ人、William Shurtleff氏は、1975年に『THE BOOK OF TOFU』を出版。この本の中には「増田屋の豆腐には、商売という概念を超えて、食べる人を思って作る喜びがある。それはすなわち、日本人の人生観そのもののように思う」という意味の一節がある。豆腐づくりの現場を体験したからこそ言える外国人の本質的な言葉に、日本人である我々も大いに感じ、学ぶところがある。手間を惜しまず、心を込めて作られた豆腐には、それだけ深いものが宿っているということだろう。
シンプルに醤油をかけて冷奴はもちろん、スパイシーな麻婆豆腐にしても量産品の豆腐にはない格別な美味しさがある。いつでも裏切らない安心の美味しさこそが、増田屋豆腐店が守り続ける真髄なのだ。
SHOP DATA
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0467-32-1324
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